ピックルボールのマナーは、たくさんの決まりを暗記しなくても大丈夫です。まずは、短い声かけ・プレーが切れるまで待つこと・最後に感謝を伝えることの3つを知っておけば、体験会でもダブルスでも落ち着いて参加できます。
初めての場では、「いつ声をかければいいの?」「ミスをしたら何と言えばいい?」「経験者と組んだら迷惑をかけないかな?」と戸惑うことがあります。けれど、分からないことを素直に伝え、相手と安全に楽しもうとする気持ちがあれば、最初から完璧でなくても問題ありません。
ここでは、体験会やダブルスでそのまま使える声かけを中心に、ピックルボールの基本マナーを紹介します。
体験会では「初めてです」と伝えるだけで安心
最初のあいさつで伝えておきたいこと
受付やコートに入る前に、次のように伝えておくと、その後の説明が受けやすくなります。
「今日が初めてです。ルールを確認しながら参加してもいいですか?」
「初めてだと知られたら恥ずかしい」と感じる必要はありません。先に伝えておくと、周りの人も説明の仕方やボールの速さを合わせやすくなります。
経験者と一緒になったときも、遠慮して黙っているより、分からないことを伝えたほうが会話が生まれます。
「まだ慣れていないので、分からないときは教えてください」
「まずはゆっくりラリーからお願いしてもいいですか?」
体験会では、パドルと呼ばれる板状のラケットやボールを借りられることがあります。道具を受け取るときは、次の点を確認しておくと迷いにくくなります。
- 使い終わった道具を戻す場所
- ボールを拾うタイミング
- コートに入る順番
- 休憩や交代の方法
- 得点やサーブの数え方
すべてを一度で覚える必要はありません。ラリーが終わったタイミングで、気になったことを一つずつ聞けば十分です。
「すみません、今の得点の数え方だけ確認してもいいですか?」
「次はどちらからサーブになりますか?」
分からないまま進めるより、早めに確認したほうが相手も助かります。体験会の進行役も、初参加の人から質問されることには慣れているはずです。
コートに入るときはラリーの終わりを待つ
ほかの人がプレーしているコートへ入るときは、ラリーが終わるまで外で待ちます。ボールを取りに行く場合も、相手が打とうとしている最中に横切らないようにすると安心です。
特に、隣のコートへボールが入ったときは、すぐに走り込まず、プレーが途切れるのを待ちます。相手の視界に入らない場所から急に入ると、打つ人が驚いたり、ぶつかったりする可能性があるためです。
こんな声かけがあると、周囲にも状況が伝わります。
「ボールを取りに行きます」
「隣のコートに入ります」
「ラリーが終わってから拾います」
「取ります」と声を出していても、相手が打つ直前なら待つほうが安全です。声をかけることと、プレーの邪魔にならないタイミングを選ぶことをセットにすると、自然な動きになります。
拾ったボールは、相手が受け取りやすいように手渡すか、足元へゆっくり転がします。相手の方向へ強く投げたり、プレー中の人に向かって転がしたりする必要はありません。
ミスをしたときは短い一言で大丈夫
ネットにかける、コートの外へ打つ、サーブの順番を間違える。初めのうちは、どれもよくあることです。
ミスをしたときは、長く謝り続けるより、短く伝えて次のプレーへ戻るほうが場の空気も軽くなります。
「失礼しました」
「次は気をつけます」
「今のは私のミスです」
何度も謝ると、ペアや相手が「そんなに気にしなくて大丈夫ですよ」と気を遣うことがあります。ひと言伝えたら、深呼吸して次のボールに目を向ければ十分です。
相手がミスをしたときは、責めるよりも次へ進める声かけが向いています。
「大丈夫です。次いきましょう」
「惜しかったですね」
「いいラリーでした」
「今のは簡単だったのに」「どうして打ったんですか」といった言葉は、相手を緊張させやすいものです。初対面の人が多い体験会では、技術の評価よりも、気持ちよく続けられる声かけのほうが喜ばれます。
ダブルスは「任せる・取る」を声に出す
得点やサーブが分からないときの聞き方
ダブルスでは、サーブの順番や得点の数え方に慣れるまで少し時間がかかります。得点を間違えたまま進めるより、いったん確認したほうが後で混乱しません。
「今はどちらのサーブですか?」
「サーバーの番号は1で合っていますか?」
「得点は何対何でしたか?」
得点は、サーブを打つ前に声へ出して伝えます。聞き取れなかったときは、打つ前に聞き返して構いません。
「すみません、もう一度お願いします」
「少し聞こえにくかったので、確認してもいいですか?」
聞こえないままサーブを打つと、後から得点の食い違いが起こることがあります。声が届きにくいときは、相手のほうへ少し体を向けたり、コートの中央に近づいたりすると確認しやすくなります。
教えてもらったら、ひと言お礼を伝えれば十分です。
「ありがとうございます。次から分かりそうです」
「助かりました」
ボールを取る人を声で知らせる
ダブルスでは、2人の間にボールが飛んでくることがあります。お互いに「相手が取るだろう」と思っていると、どちらも動けず、反対に同時に走り出すとぶつかることがあります。
自分が取るときは、早めに短く声を出します。
「取ります!」
「私です!」
「任せてください!」
自分の位置から届きにくいときは、無理に手を出さず、ペアへ任せます。
「お願いします」
「任せます」
「どうぞ」
大きな声で叫ぶ必要はありません。ペアに聞こえる程度の声で、早めに伝えるだけで動きが合わせやすくなります。
初心者のうちは、次のような場面で迷いやすいものです。
- ペアに何も伝えずボールを追う
- 相手のボールを追いかけてペアの前へ出る
- 失点のたびにペアの動きを指摘する
- 取れなかったボールをペアの責任にする
- ミスに対してため息をついたり、笑ったりする
ミスの後は、原因を細かく探すよりも、次のポイントに向けて声をかけるほうが気持ちを切り替えやすくなります。
「大丈夫です。次は声を出します」
「次は中央を見ておきます」
「切り替えましょう」
ペアが経験者の場合も、すべてを任せきりにする必要はありません。「任せます」「次は取ります」と声を出すだけで、ペアは動きを予測しやすくなります。
キッチン付近では相手の動きを妨げない
ピックルボールには、ネット近くのノンボレーゾーンがあります。一般には「キッチン」と呼ばれる場所です。ここでは、ボールが地面に落ちる前に打つボレーに制限があります。
ルールに慣れるまでは、キッチンの線を確認しながら動くだけでも大変かもしれません。まずは、相手やペアの動きを邪魔しない距離を保つことを意識すると安心です。
相手がネット近くで構えているときに、急に正面へ詰めたり、ラケットを相手の顔の近くまで出したりすると危険です。打った後も相手の方向へ体を大きく流しすぎず、次のボールに備えられる位置へ戻ります。
相手の近くへボールが当たってしまったときは、まず相手の状態を確認します。
「大丈夫ですか?」
「すみません、狙ったものではありません」
故意でないことを長く説明するより、先に相手がプレーを続けられる状態かを確かめるほうが自然です。もし痛みがありそうなら、無理に続けず、体験会のスタッフや進行役に相談できるよう声をかけます。
そのまま使える声かけと、困ったときの対応
場面別の声かけ一覧
緊張して言葉が出てこないときは、次の表から使いやすいものを一つ覚えておくと便利です。
| 場面 | 使いやすい声かけ |
|---|---|
| 初参加のあいさつ | 「今日が初めてです。よろしくお願いします」 |
| ルールを確認したい | 「今のルールをもう一度教えてください」 |
| 得点を聞きたい | 「今の得点は何対何ですか?」 |
| サーブを確認したい | 「次はどちらのサーブですか?」 |
| ボールを拾う | 「ボールを拾います」 |
| 隣のコートに入る | 「失礼します。ボールを取ります」 |
| ボールを任せる | 「お願いします」「任せます」 |
| ボールを取る | 「私です」「取ります」 |
| ミスをした | 「失礼しました。次、気をつけます」 |
| 相手がミスをした | 「大丈夫です。次いきましょう」 |
| 教えてもらった | 「ありがとうございます。分かりやすかったです」 |
| 休憩したい | 「水分を取ってから戻ります」 |
| 試合やゲームが終わった | 「ありがとうございました」 |
プレーが終わった後の「ありがとうございました」は、勝敗に関係なく使える言葉です。握手をする習慣がない場でも、笑顔でひと言伝えれば、気持ちは十分に伝わります。
体験会で起こりやすい行き違い
マナーの行き違いは、悪気のない行動から起こることもあります。少しだけ意識しておくと、周囲とペースを合わせやすくなります。
いきなり強く打たず、相手の様子を見る
体験会では、参加者の経験や体力がそれぞれ違います。最初から強いボールを打つと、相手が準備できないことがあります。
初めは返しやすい高さと速さでラリーを始め、相手の様子を見ながら調整すると自然です。
「もう少しゆっくりのほうがいいですか?」
「この速さで大丈夫そうですか?」
相手から「もう少しゆっくりで」と言われたら、スピードを落とします。反対に、相手が慣れてきた様子なら、少しずつ通常のテンポへ戻せば問題ありません。
アドバイスは、相手が求めているかを見ながら
経験者であっても、初対面の人へフォームや戦術を細かく伝え続けると、相手がプレーに集中しづらくなることがあります。
何か伝えたいときは、まず確認してから短く話すと受け入れられやすくなります。
「ルールの説明が必要なら言ってくださいね」
「次のポイントだけ、簡単にお伝えしてもいいですか?」
体験会では、上手に教えることよりも、一緒に楽しめる雰囲気をつくることが喜ばれます。
待ち時間の声量にも少し配慮する
コートの外での会話は、体験会の楽しみの一つです。ただ、隣のコートでプレーしている人の声が聞こえなくなるほどの大声は、少し控えめにすると安心です。
応援するときも、プレー中に長く話しかけるのではなく、ポイントの合間に短く声をかけます。
「ナイスラリーです」
「いい返球でした」
休憩や交代は周囲にひと言伝える
疲れたときや水分を取りたいときは、無理に続けず休憩して構いません。次のゲームを休む場合は、ペアや進行役にひと言伝えておくと、交代がスムーズです。
「少し水分を取ってきます」
「次のゲームは休憩して、次から戻ります」
体調や足元に不安がある場合は、無理をしないことも楽しく続けるための工夫です。
困ったときはスタッフへ相談して大丈夫
相手がルールを知らないことを責めたり、強い言い方をしたりする必要はありません。まずは落ち着いて、事実を短く伝えます。
「今のボールが隣のコートへ入ったので、次からラリーの後に拾いませんか?」
「得点が分からなくなったので、いったん確認してもいいですか?」
ボールを強く投げる、プレー中にコートへ入るなど、安全に関わる行動が続く場合は、体験会のスタッフや進行役へ相談できます。自分だけで解決しようとせず、場を見ている人に任せる方法もあります。
最初は「声かけ・待つ・感謝」の3つで十分
ピックルボールのマナーを最初からすべて覚えなくても、次の3つができれば、体験会やダブルスで周囲と気持ちよく過ごしやすくなります。
-
声をかける
ボールを取るとき、ペアに任せるとき、分からないときに短く伝える。 -
プレーが切れるまで待つ
ほかのコートへ入るときやボールを拾うときは、ラリーの終わりを待つ。 -
感謝を伝える
教えてもらったときやゲームが終わったときに、「ありがとうございます」「ありがとうございました」と伝える。
体験会では、上手に打つことよりも、相手と安全にラリーを続けることを目標にすると無理がありません。分からないことがあれば、「初めてなので教えてください」と言えば、そこから会話が始まります。
プレー前には軽く体を動かし、足元が滑りにくいシューズを選ぶと安心です。膝、足首、肩などに痛みが出たときは、そのまま続けずに休憩しましょう。気になる症状が続く場合は、スタッフや医療機関へ相談できるようにしておくと、より安心して楽しめます。
声をかけて、相手の動きを待ち、最後に「ありがとうございました」と伝える。この流れが分かっていれば、初めてのコートでも大丈夫です。慣れてきたら、家族や友人にも声をかけて、一緒にラリーを楽しんでみてください。
